診療案内

皮膚科

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症の症状

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは手のひら、足の裏に多数の膿疱ができる難治性の慢性炎症性疾患です。

膿疱は数日で乾燥し、黄褐色となりぽろぽろと皮がめくれてきます。 爪にも膿疱が出来ることもあり、爪が分厚く変形したり、褐色に変色することもあります。

掌蹠膿疱症は周りの人にうつることはありません。膿疱はウイルスや細菌によって起こるものではなく無菌性であるからです。また、家族で体質が似て発症することはありますが、遺伝することはないといわれています。

掌蹠膿疱症の患者の中には、「掌蹠膿疱症性関節炎」といって、鎖骨・肋骨などの骨化を合併して、胸・肩・首の痛みを伴う方もいます。 掌蹠膿疱症の患者の血中ビオチン濃度を測定すると、正常の人に比べて著しく低下している事がわかっています。

また、代謝・免疫異常を生じるため、本症の患者のなかには糖尿病、クローン病、IgA腎症などを合併する人もいます。

掌蹠膿疱症性骨関節炎

掌蹠膿疱症性骨関節炎とは掌蹠膿疱症とともに、骨の石灰化・関節の癒着などをきたす病気です。 発症経過は個人差があり、膿疱症と同時期に起こる場合や、膿疱症の後に関節炎が起きる場合などさまざまです。

また、関節炎が主症状で膿疱がほとんど見られない方も少なくありません。 骨関節炎は軽症から重症までさまざまですが、膿疱症のみの方に比べ重症であることが多いです。

当院で治療した約4000名の掌蹠膿疱症患者のうち、約1500名(約4割)に関節炎がみられました。

骨関節炎の約8割はまず胸骨・鎖骨・肋骨に起こり、骨盤・脊椎、まれに膝関節・大腿骨・下顎骨に起こる人もあります。 掌蹠膿疱症の方はそれらの関節炎の有無を調べます。

関節炎の程度はレントゲンと血液検査でわかります。

当院では、骨変化の程度を鎖骨・第一肋骨のレントゲン画像を使って、初期・中期・後期と3段階に分け、さらにそれぞれを3段階に合計9段階に分類します。

治療経過は症状によりますが、初期の方なら一ヶ月で痛みが無くなる場合がありますが、罹患期間の長い中・後期の方は治療も長くなります。

関節炎の治療は、ビオチンを中心に、痛みの強い方には鎮痛剤を併用しながら治療します。 あくまでも鎮痛剤は痛みを抑えるだけで、関節炎の進行を抑えるのはビオチン治療のみです。

しっかり治療をしないと関節炎は悪化していきます。 自然に関節炎が治ることはありません。

掌蹠膿疱症の検査

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 関節炎のある方はレントゲン検査